「カルチュラル・ランドスケープ(文化的景観)」とは、人間と自然の相互作用によって形成された景観を指す概念であり、ランドスケープの視点から見ると、歴史・風土・記憶・習慣などが織り込まれた“意味のある風景”を扱う領域といえます。
文化的景観は、人間の営みと自然環境が交錯しながら形成され、その土地や場所に固有の知恵や価値観が内包されています。こうした場所を設計対象とするにあたっては、単なる景観美の追求や施設整備だけでは不十分で、土地の成り立ち、記憶、生活文化といった文脈を丁寧に読み解き、「風景を受け継ぐ」という意識が不可欠と考えます。
風景を通じて時間の層を伝えること、人と自然のつながりを現代の空間に継承すること、こうしたことがランドスケープ設計における「文化的景観」への応答の在り方と考えます。