「自然との共生」は、ランドスケープの設計において人間の生活と自然環境の調和を目指す実践的かつ倫理的な指針と考えます。
現代の都市や開発は自然の摂理を分断・抑圧しがちですが、ランドスケープのデザインはその中で「調整役」として機能します。近年激烈化する豪雨や猛暑に対して、グリーンインフラとしてのランドスケープは生態系サービスを活用しながら都市のレジリエンスを高める一方、人々にとっての安らぎや学びの場を提供します。
また、広場や道、公園といったオープンスペースは、人々の感性や文化、地域の記憶と自然環境とを結びつける装置であり、「人と自然が関係を結び直す場」として重要です。自立した営みである自然の様相を感じられる植栽、水辺、地形など、自然とのインタラクションを促す設計が、持続可能で豊かな風景を育てます。
「共生」は、積極的に環境に関与し自然とともに未来をつくる姿勢です。ランドスケープデザインはその架け橋として、技術と感性の双方から「生きた風景」をつくり、人と自然とのより深い関係性を支えていく役割を担っていきます。