2018.03FOUR SEASONS HOTEL KYOTO
LEGACY
私たちは地歴や地勢を丁寧に読み解き、
歴史や記憶に十分配慮しながらデザインを進めています。
フローからストック重視の時代にあって「レガシー」に敬意を払う姿勢は
ますます社会に受け入れられています。
フォーシーズンズホテル京都では、
敷地に残された、平重盛の山荘「 しゃくすいえん積翠園 」 をレガシーと捉えて、
往時の池泉舟遊庭園の作法を継承し
「新時代の雅」として再生しました。
所在地 | 京都府京都市東山区妙法院前側町445-3 |
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事業主 | 京都東山ホスピタリティアセット特定目的会社 |
建築設計 | 株式会社久米設計 |
外構設計 | 株式会社ランドスケープデザイン(基本計画、基本設計、実施設計) |
工事監理 | 村瀬文彦(ワーズ・デザイン) |
外構施工・一部設計 | 西武造園株式会社 |
竣工 | 2016年6月30日 |
規模 | 敷地面積20,433.55㎡ 建築面積7,999.32㎡ |
既存の景石を再利用し、井戸からの水を移設した瀧口
平安期に寝殿のあったと推定される位置にあり、 庭の全景を見渡せる客室棟
渓谷を堰止められて造られた池庭であることが、東山界隈の池泉庭園の特徴です。その特徴を継承し、水循環の流れとして再生しました。また、平安後期の庭の特徴である蓬莱思想からくる、2つの島と船を模したよどまりいし夜泊石等の石組み、石橋と園路による回遊性を保全・再生しました。植栽は、外来種を除き、在来種の補植により林床を整備しました。
四季折々の庭の風景が楽しめる、現代の月見台
蓬莱島に渡る複数の船を表現すると謂われる石組み
妙法院の樹林を借景として、東山水系を象徴する水景
客室棟はかつて寝殿があったであろう位置を中心に配置され、ホテルの客室やレストランテラスから、庭の全景を見渡すことができます。再生された庭園は、清らかな水をたたえ、花見、月見、雪見、茶会、酒宴等、古来より受け継がれてきた、京都ならではの都市の中で四季を愛でる庭園文化を楽しめます。
市街の喧騒からホテルの静粛さを確保する、100mに及ぶ竹林のアプローチ
エントランスゲートの景観シミュレーション
妙法院築地塀の水平ラインと調和させる為、自然石小端積みを採用して、警備室を内包
隣接する妙法院の築地塀、樹林、屋根並みは貴重な景観遺産です。ホテルアプローチはそれらと調和させ借景として一体化することで、日本庭園に特有の景観シークエンスを創出しました。特にエントランスゲートでは、シミュレーションによってホテルとしての格調と視認性を確保しつつ歴史的町並みに溶け込むデザインを実現しました。
※写真提供:フォーシーズンズホテル京都、京都東山ホスピタリティアセット特定目的会社